つい先程、テレビで放映されていた映画「それでもボクはやってない」(2007年/日本)を観ました。
http://www.soreboku.jp/index.html
周防正行監督最新作『それでもボクはやってない』公式サイト
この映画、実はリアルタイムで映画館に観に行こうと思ったくらい興味を持っていたことがありました。
しかし当時は慌しい時期で観に行くことができず、今回のテレビ放映を機会に改めて観ることにしました。
(放送枠に合わせてシーンをカットされるのが嫌で、普段はテレビ番組で映画を観るのを避けてます。)
それで映画の感想ですが、冤罪被害者たる主人公への理不尽な対応の数々が何とも遣る瀬無いです。
この理不尽さが本旨なので何とか踏み止まりましたが、途中で何度も観るのを止めようかと思いました。
言い分を聞かぬ逮捕、高圧的な取り調べ、拘置所での非人間的な扱い、端から検察寄りの裁判官、
非常に不愉快であると同時にそれらが男性ならば誰にも起こり得る状況であることに不安すら覚えます。
最後に下された有罪判決についても、判決文こそ尤もらしく語られましたが全く釈然としませんでした。
「少女の証言は信頼できる」、被害者に対して痴漢行為があったと認める根拠としては十分ですが、
位置関係に基づく検証証拠からも加害者を主人公と断じる根拠とはならないのではないでしょうか。
「手を後ろでなく上に引き抜いた可能性もある」、いかにも有罪ありきの裁判官の勝手な判断ですね。
手を上に引き抜けばスカートが捲れる訳であって、被害者の勘違いとするのは無理があると思います。
被告が無罪であるかの争点となる箇所だけに、裁判中で明らかにしなければならないところでしょう。
そもそも被害者の証言だけで、目撃者も証拠も何ひとつない状況で有罪になることがあるのでしょうか。
まして証言にも矛盾がある中、もちろんこれは映画の中の出来事ですので実際にこんなことがあるとは
考えたくありませんが、もしこれが本当に痴漢冤罪の実態であるとすれば云い様のない憤りを感じます。
最後に出てきた「裁判はとりあえず有罪か無罪か決めるところ」という捉え方にも深く考えさせられました。
"事実を明らかにする場でなく、有罪と無罪のどちらが妥当か判断するだけの場所"、そうかもしれません。